『かずさ和牛、しあわせ満点牛、若潮牛』
スーパーマーケットや町のお肉屋さんに行ったとき、牛肉の名前を見て気になったことはありませんか?
「見たこともない名前の牛肉だ!」
「なんでこんなに牛肉の名前がたくさんあるんだ?」
「美味いのか?希少なのか?買うべきなのか?」
なんでこんなに銘柄牛ってたくさんあるの?覚えられないし、どれが美味しいのかわからないよー。
正直、地域のために銘柄牛を作っている感は否めないです。
でも職業柄、常にお肉アンテナが反応してしまうのです。
そんな食肉卸歴13年の私がおすすめする銘柄牛、気になりませんか?
えっ?気にならない?
ちょっっと待ってよ!聞いて行ってよ!!
というわけで紹介していきます。
ちなみに最初の3種類は千葉県産の銘柄牛です。
食肉卸歴13年の私がおすすめする銘柄牛20選
この牛に出会ったら即買ってよし!という銘柄牛です。
まず20選全部紹介します。
1・前沢牛(岩手)
2・米沢牛(山形)未経産雌牛のみ
3・山形牛(山形)
4・仙台牛(宮城)唯一5番のみ
5・信州プレミアム牛肉(長野)
6・静岡そだち(静岡)未経産雌牛のみ
7・特産松坂牛(三重)未経産雌牛のみ
8・伊賀牛(三重)未経産雌牛のみ
9・近江牛(滋賀)
10・平井牛(京都)
11・神戸ビーフ(兵庫)
12・但馬牛(兵庫)
13・田村牛(鳥取)未経産雌牛
14・鳥取和牛オレイン55(鳥取)
15・千屋牛(岡山)
16・尾崎牛(宮崎)
17・宮崎牛(宮崎)
18・佐賀牛(佐賀)
19・のざき牛(鹿児島)
20・鹿児島黒牛(鹿児島)
あくまで私のおすすめです。
銘柄牛のステーキが食べたくなった方はこちら
東北の和牛
個人の感想なんですが、東北の牛は寒いところで育っているので皮下脂肪が付きやすく、脂身が美味い。
特に前沢牛や仙台牛は肉の色合いが白く霜降りが強い。
山形には山形牛と米沢牛がいて、2つとも肥育日数が長いです。
平均25ヶ月~28ヶ月で出荷される和牛ですが、2つとも30ヶ月が平均です。
肥育日数が長い分、脂肪交配が進み脂身が美味い牛肉になります。
信州、東海の和牛
まずは信州プレミアム牛肉!
この牛はオレイン酸含有量が52%以上の牛に限って名乗ることの許された銘柄牛です。
アボカドやオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸が牛にも?と驚かれる方がいると思いますが、和牛の脂は融点が低く体に残りにくいと言われています。
次に特産松阪牛です。
特産松阪牛と聞いてどう思いましたか?
「松阪牛は知ってるけど特産ってなに?」
そういう声が聞こえてきそうなのでお答えします。
それは、「松阪牛の中でも、兵庫県産の但馬牛の仔牛を導入し、松阪牛生産区域で900日以上
肥育した牛!」
900日とは先ほども言ったように30ヶ月以上という意味で、肥育日数が長ければ脂肪交配が進み、良い霜降りが入ります。さらに特産松阪牛ということで、但馬牛の仔牛から育てています。しかも未経産雌牛のみといった、スペシャルポイント付きです。
未経産雌牛の何がそんなに良いの?という声が聞こえそうなのでお答えします。
まず未経産ということですが、仔牛を産むと母牛の栄養は仔牛に持って行かれてしまいます。人間でもそうですが、食べても食べても子供の栄養になるので太りにくかったり、鉄不足、カルシウム不足によって情緒不安定になってしまいます。
言い方が悪いですが、食用の牛は栄養を溜め込んで(太って)なんぼなのです。そこで未経産の雌牛は去勢(雄牛は食用に決まった時点で雄のシンボルを落とされてしまいます。なぜなら、雄のホルモン抑制することで筋肉が柔らかくなるから)に比べて、肉質が柔らかく、臭みが少ないからです。さらには霜降りも不飽和脂肪酸であるオレイン酸含有量が多くなり美味しくなりやすいからです。
私も食べたことがございません。都内か、三重県に行くこととがあれば必ず食べようと思っています。
但馬牛が気になる方はこちら↓
関西の和牛
関西と言えば、世界で最も知られているキングオブ黒毛和牛「神戸ビーフ」です。
神戸ビーフの規格基準はきわめて厳しく、その称号を得るためになにが必要なのか紹介します。
1・但馬牛であること(最高峰である所以)
2・未経産、去勢
3・歩留等級A、Bのみ(Cまであります。脂が厚すぎる牛は駄目ということです)
4・肉質等級4以上(これは1~5で表示されます)
5・認定された生産者
6・純兵庫県産(生まれも育ちも兵庫県)
7・枝肉の重量規定(雌牛は270~499.9㎏、去勢は300~499.9㎏、大きい牛は700㎏くらいあります。つまり神戸ビーフは小さいのです)
8・BMS値№6以上(霜降りランクは1~12まであり、1等級は1、2等級は2、3等級は3~4、4等級は5~7、5等級は8~12)
厳しい審査を通った但馬牛が神戸ビーフになれるのです。
鳥取の和牛
鳥取は鳥取和牛を始め素晴らしい牛肉を生産しているところです。
鳥取和牛オレイン55とはその名の通りオレイン酸含有量55%以上の牛に限り名乗ることの許された銘柄牛です。信州のプレミアム牛肉と同様に価値ある牛肉です。
そして何より「田村牛」の登場です。
田村牛とは純但馬牛、但馬血統の未経産雌牛のみを田村牧場で肥育した、最高品質の和牛です。
生産者である田村正道の名を見ると、この人が育てた牛は必ず美味しいという声が聞こえるほど生産者ともにブランド化された珍しい和牛です。
都内の超高級焼肉屋に行けば食べられるかもしれませんが、なかなかお目にかかれない逸品です。出会えたらラッキーです。
九州の和牛
九州は食肉の最大産業であり、良いものがありふれているほどです。
紹介する物が多すぎるので1つに絞りました。
鹿児島黒牛です。
和牛のオリンピックと呼ばれる5年に1度の祭典である「全国和牛能力共進会」で2017年に行われた大会で総合№1に選ばれた金メダリストなのです。(次回大会は2022年に鹿児島で行われます)
実は仕事柄牛肉も販売しますが、私がこの1年で売った銘柄牛はダントツで鹿児島黒牛が多いです。
とてもバランスが良く、ファンも付いている美味しい牛肉です。
是非お目にかかったときは食べてみてください!
まとめ
全国各地に美味しい牛肉がありましたね。
しかし銘柄牛の数が多くなりすぎて飽和状態のように感じます。
一方、年々レベルが上がっていてしのぎを削っている感も否めません。
日本の和牛という文化を守りつつ、さらなる発展に繋げられればと願うばかりです。
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今外国の牛肉価格が高騰しています。
いずれ日本の市場にも海外勢が押し寄せてきたとき、日本人の食べるものがなくなるのでは?という懸念を感じずにはいられません。
守るものは守るというスタンスを貫きながらも、日本も世界に対して賢く商売をやっていく必要があると思います。
日本の牛肉の未来を不安に思う方におすすめの記事
それではまた。